奨学金制度について

日本の奨学金制度は、「進学の機会均等」を支える重要な仕組みである一方、家計や将来設計に大きな影響を与える制度でもある。中心となるのは日本学生支援機構(JASSO)の奨学金で、大きく「給付型」と「貸与型」に分かれる。

給付型は返済不要で、世帯年収や資産状況に応じて支給額が決まる。住民税非課税世帯やそれに準ずる世帯が主な対象で、授業料減免制度と組み合わせることで実質的な学費負担を大きく下げられる。一方、貸与型には無利子(第一種)と有利子(第二種)があり、学力基準と家計基準を満たす必要がある。世帯年収の目安は家族構成や進学先(自宅通学か下宿か)で変わるため、早めにシミュレーションを行うことが重要だ。

申請は在学中の高校を通じた「予約採用」と、進学後に大学で行う「在学採用」がある。多くの場合、マイナンバー提出による家計審査が行われ、収入だけでなく資産も確認される。書類不備や期限遅れは不採用の原因となるため、担任や進路指導担当との連携が欠かせない。

返済の現実は決して軽くない。貸与型の場合、卒業後おおむね7か月目から返還が始まり、月1〜2万円の返済が10年以上続くこともある。延滞すれば信用情報に影響し、将来の住宅ローンやクレジット契約に支障が出る可能性もある。ただし、所得連動返還方式や減額返還制度、返還期限猶予など救済策も整備されており、困難な場合は放置せず相談することが肝心だ。

希望の側面もある。地方出身者が都市部の大学に進学し、専門資格を取得して地元にUターン就職する例や、理工系分野で大学院まで進み研究職に就く例など、奨学金が人生の選択肢を広げた事例は少なくない。近年は企業や自治体による「返還支援制度」も広がり、一定期間勤務すれば返済を肩代わりする仕組みも登場している。

成功パターンは、①将来の収入見通しを踏まえ借入額を抑える、②給付型や授業料減免を優先活用する、③在学中から返済計画を具体化する、の三点に集約される。逆に失敗パターンは、必要以上に借りる、進路変更や中退で想定収入が得られなくなる、返還手続きを放置する、といったケースだ。

奨学金は「借金」か「投資」かという議論があるが、実態はその両面を持つ。世帯年収とのバランスを冷静に見極め、制度を正しく理解し、将来設計の中に位置づけること。それが、奨学金を希望につなげる最も現実的な道である。

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